今日の躓き石 囲碁女流が罹患した「リベンジ」悪疫 毎日新聞の手落ち
2024/04/14
本日の題材は、毎日新聞大阪12版「くらしナビ」面の「囲碁将棋スペシャル」である。今回は、囲碁棋士の紹介であるが、「悔しさをバネに」と添え書きして、国際棋戦決勝進出のサクセスストーリーと見える。
それで済めばよかったのだが、2年前に一回戦敗退したときの感慨として、「次に機会があればリベンジしたい」との思いを語っていて、大きく暗転している。担当記者は、既に「悔しさをバネに」と地の文で、程のよい決めことばを使ったために、つい、使ってはいけないことばを出してしまったのだろうが、折角の記事に泥を塗っているのは、プロらしからぬ不用意な失言と見える。この記事では、別に、主人公の発言をそのまま出さなくても良いはずである。それが、今後、永く読み返されるであろう重大な紹介記事で、このように失言を曝すのは随分残酷である。単に「借りを返したい」と言ったことにしておけばいいのである。別に「次は、ぶち殺して血染めにしてやる」と言わなくてもいいはずである。
このあたり、担当記者の語彙が影響しているようである。「私はメンタルが強くない」とのぼやきも、不用意なカタカナ語で、主人公に残念なものなのが目を引く。直後に「勝ちたい気持ちが強くなりすぎると力んで実力が発揮できなくなる」と噛み砕いているが、まとめて「気負いがち」という言い方で、もっと切実に読者につながると思うのである。
それなら、口数は少なくて済み、先ほどの失言と裏腹の落ち着いた言葉遣いである。ここは、速報で無く紙上囲み記事であるから、落ち着いて読み返して推敲すれば良いはずである。
辛口で言うと、力んだら冷静な判断ができなくなるのも「実力」のうちというのが、プロの意見と思うのである。『どんなときにも緊張感が保たれていて、しかも、気負いがないのが「最強のメンタル」』との勝手な素人考えは、外野の野次馬の寝言として聞き流していただいて結構である。
加えて、末尾で「私は意識しない方が良い結果が出る」と言う趣旨が、少し崩れた現代風の言葉遣いで語られているが、世界のトップレベルで戦う一流棋士が最早若者言葉でもあるまいと感じさせるのである。
ということで、今回の記事に関しては担当記者に、今後一段の努力を戴いて、主人公が「淡々と自分のベストを尽くす」のを支援戴きたいものである。
以上
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