新・私の本棚 石野 博信討論集「邪馬台国とは何か」田中 琢 銅鏡論 1/2 三掲
吉野ヶ里遺跡と纏向遺跡 新泉社 2012年4月刊
私の見立て 星無し ただし、本記事に限定 2021/04/14 2024/01/27, 04/21
*加筆再掲の弁
最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲していることをお断りします。
◯はじめに
本書は、掲題の通り考古学界の泰斗である石野博信氏が主催した当分野に関する討論会の集大成であり、本稿は、就中、「1992 邪馬台国ヤマト説 考古学から見た三世紀の倭国」と題された討論会記録の批判です。好著への批判は不本意ですが、総監督石野氏への責めと理解いただきたい。
◯「銅鏡百枚から見えてくる邪馬台国」
本記事の題材は、水野正好、石野博信、田中琢(みがく)三氏の講演と続く討論ですが、やり玉に挙げているのは、最後の田中氏の「発言」です。上げたのは、氏の設定した小見出しですが、看板にもならない、ボロボロのものです。
*「無知と不勉強」前提の提議
不審なのは、高度な学術的な討論の場と期待されている席に、なぜ、このような無知、不勉強な輩(やから)の登壇と無法な決め付け発言が許容されたかということです。石野氏に人選責任があるのでしょうか。
発言内容をなぞると、以下の感じです。
*根拠なき史料不信説諭
何を考えてか、いきなり、低俗な史料不信を開陳します。
具体的な記事をサカナに論(あげつらう)のでなく、自身の狭く浅い見識に基づく所感を強弁し、果ては、「お見合いに提出される釣書が、ウソばかり」との「風聞」を取り上げて、それが、史料不信の根拠とされています。胡散臭い古代史講演で定番の、自身の実体験らしい「卑近」ネタですが、退席せずに我慢するしかありません。
この下りは、誰に向かって講釈しているのか不審です。ある程度、古代史の史料考証に慣れていれば、氏が、専門外では一介の門外漢で、無資格と自白していると見て取れます。無様な自己紹介です。「金返せ」です。
いい年をして、自身の狭くて浅い了見で世界を推し量るのは大した度胸ですが、実史料に言及せずに、はなから、ご自身の「無知と不勉強」を高言していると思う次第です。いわば、「史料読まず・知らず」と言う自罰発言です。
ご自身の保身は別として、どうか、他人を巻き込まないでいただきたいものです。
「無知と不勉強」は、自習し適切な指導を仰いで是正するものです。「病的」と言われかねない性癖ですが、「病気」ではないから「つけるクスリ」はありません。
*不似合いな前置き~動機不純な文献排除
なぜ、そのような途方もない思い込みを言い立てるかと推察すると、要は、本題の銅鏡談義で、二千文字程度の「倭人伝」すら持論を妨げる「鉄の壁」なので、捨て身で排除しているようです。「目的のために手段を選ばない」とは「カラスの勝手」ですが、見え見えの暴言は逆効果と悟るべきです。対象非限定の史料全面否定では、「良識ある人」は、共感、支持を憚(はばか)るはずです。
と言っても、田中氏の持論は、古代史学界で、大変分の悪いと見える「三角縁神獣鏡舶来」説ですから、苦し紛れに「倭人伝」を排除しても仕方ないのですが、本稿の発言の冒頭で度を過ごして力説しているのは、それだけ持論が崩壊していると露呈しているのです。
*「無知と不勉強」の好例~景初・正始論議の不覚
「無知と不勉強」の好例として、ようやく「倭人伝」に言及して、景初三年に関する発言が提示されます。
氏は、勝手に、魏帝逝去時、直ちに改元したと思い込んでいますが、景初~正始改元の経緯は、衆知自明で、景初三年元日皇帝逝去、即日新帝即位で、その年は皇帝なしの景初三年が続き、翌年元日に正始改元です。
即日改元なら景初三年は存在しませんが、氏は無知の強みで無頓着です。
大抵の「倭人伝」読者には常識でも、田中琢氏の周囲では「無知」が「常識」なのでしょう。
未完
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