« 新・私の本棚 石井 謙治 「古代の船と航海の歴史」 再掲 1/2 | トップページ | 私の本棚 41 笛木 亮三 「三国志の写本検索」 季刊「邪馬台国」 128号 1/2 »

2024年5月28日 (火)

私の本棚 41 笛木 亮三 「三国志の写本検索」 季刊「邪馬台国」 128号  2/2

 季刊 「邪馬台国」 128号  2016年2月  2016/03/08  補足 2021/07/14 2024/05/28

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

⚪補足の弁
 当記事は、笛木氏の記事で、各管理者が示した否定的な見解の法的根拠を模索したものであり、笛木氏の見解を批判することを目的としたものではない。いわば、当誌編集部への公開質問状であるので、もし、笛木氏初め、関係者にご不快の念を与えたとしたら、お詫びする次第である。

⚪私見のお断り
 著作権などの権利関係についての私見を以下に示すので、よろしく、ご検討いただきたい。
 なお、当ブログ筆者は、別に弁護士でもなんでもないので、ここに展開した議論の当否は、最寄りの知財権専門の司法関係者の確認を取っていただきたいものである。
 当記事を根拠に行動されても、当ブログ筆者の関知するところではない。

 当ブログ筆者の知る限り、「三国志」写本に関する著作権は存在しない。
 「三国志」写本の写真に関する著作権も存在しない。

*三国志の著作権
 史料の原典である三国志は、三世紀後半の著作物であり、著作権を主張できるのは、編纂者である陳壽と思われるが、没後千年年以上経っているので著作権は消滅している。
 三国志を写本するという行為は、既存の著作物の複製行為であるので、新たに著作権が発生することはない。いや、発生したとしても、とうに著作権は消滅している。
写本の断片は、せいぜいが既存の著作物の一部分であるので、それ自体が新たに著作物となって著作権を発生することはない。いや、発生したとしても、写本時代は、とうに一千年は過ぎているので、著作権は消滅している。

 つまり、三国志写本は、すべて人類共通の公共的知的財産になっている。

 既存の著作物の写真複製はたんなる複製行為であるので、撮影された写真に新たな著作権が発生することはない。
 ということで、三国志の写本の写真の著作権、つまり、知的財産としての権利は、消滅している。
 著作権が存在しない資料に関して、著作権を主張して資料利用に制限を加えるのは、違法であることは言うまでもない。

*その他の権利
 写本の断片は、現在の管理者が、何らかの対価を払って購入したものであるか、寄贈を受けたものなので、管理者の個人的財産であれば、これを公開するか、秘匿するか、あるいは、有償または無償の契約を結んで、限定された対象者に開示することは、管理者の権利の範囲である。要は、世間に見せるかどうかは、管理者の勝手である。
 「限定された対象者」が、管理者と二次的な公開をしないとの契約を結んでいるのであれば、「限定された対象者」は、二次的な公開を禁止されているものである。
 と言うことであるが、展覧会図録などに資料写真が掲載されていて、そのような図録が書籍として流通していた場合、書籍の購入者は、別に管理者と契約しているわけではないので、図録制作者が管理者者と結んだ「二次公開しない」との取り決めに拘束を受けることはないと思われる。
 また、管理者は、一旦、資料の写真図版が図録に掲載されるのを許可した以上、図録を正当に入手したものが、掲載されている写真図版を自身の論考に転載したとしても、これを法的に規制することはできないものと考える。

 そもそも、史料写真を掲載した図録を販売するのを許可した時点で、購入したものが掲載写真を資料として引用して、独自の論考を執筆することを許可したものと見なすべきではないか。資料出所を明記することは必須である。
 まして、図録の写真図版を、何らかの手段で複製した場合、写真図版そのものの転用ではないので、厳格に規制する権利はないものと考える。
 まして、写真図版から、文字情報を取得した場合、そのような文字情報の利用を制限することは不可能と考える。

 それにしても、資料そのものや精密なレプリカなら、何か権利を主張しても、ごもっともという人が出るだろうが、単なる外観写真について、しつこく権利を主張するのは、どういうことだろうか。「肖像権」と言うつもりなのだろうか。
 いや何、出し惜しみするような秘宝は持っていないので、肩肘張って言えるのである。

以上

追記:当誌上で、中国に於いて、正史の写本は、草書体で運用されていたに違いない、何の物証も無しに主張する論客が登場して、編集部のダメ出しがないまま、堂々と掲載されていたから、そのような勝手な思い付きを公開する不都合を、機会ある毎に言い立てているのだが、笛木氏の検討によれば、草書系資料は、ここには含まれていないということである。
 当ブログ筆者が、誌上写真や図録掲載の高精細度写真を見た限り、「草書」は見当たらないのである。

 当該「フェイクニュース」は、早々に排除されるべきだと考える事態である。

*秘密情報としての管理
 一般世界では、交渉相手が秘密情報として厳格に管理している情報を、自分自身の秘密情報と同等の厳格な管理をすることを前提に、特に開示してもらう、秘密保持契約というものがある。契約であるからには、これを守らないときは、「契約違反」として処罰されることを了解しているものである。

 しかし、こうした契約には必ず例外規定が設けられている。
 其の一つが、秘密情報を受け取る側が秘密保持していても、秘密情報を受け取る側が責任を問われない何らかの事情で、秘密としている情報が、世間に知れてしまったら、その時点で、秘密扱いしている情報は秘密でなくなり、それ以降は、秘密保持契約の拘束を受けないというものである。

 今回の例で言えば、仮に、管理者が、図録などへの掲載を承認する条件として、第三者への公開を禁止する規定を設けていたとしても、その図版が、ネットに公開されている場合は、もはや、第三者への公開を拘束できないというものである。
 ここに言う第三者は、管理者と契約を交わしたわけではないので、知らない契約に拘束されることはないと思うのである。

 自身のサイトで複写禁止したところで、誰かが別の場所で複製情報を無条件で公開してしまえば、「そこからの複写」は禁止しようがないのである。

*国立博物館の撮影制限

 国立博物館は国立機関であるので、保有・管理している知的財産は、国民共有の財産であり、著作権などの知的財産権を主張してその利用を制限することはできないものと考える。
 国立博物館の展示物は基本的に撮影可であり、時として、撮影禁止とされているのは、別の事情による。また、撮影の際のフラッシュ使用や三脚使用が禁止されているのは、これも別の事情による。

 国立博物館が展示・公開していても、展示品所有者の委託を受けて展示・公開しているものは、国立博物館が所蔵物として保有・管理しているものではないので、展示品の所有者の許諾した条件で公開されているものである。撮影禁止と明示されていれば、それは遵守しなければならない。

 また、言うまでもないが、撮影可の条件の下、個人が撮影した展示物写真を、営利の目的で使用したり、国立博物館の所蔵品であることを明記しないで、自己の著作物のように利用するのは、撮影許可の条件外であると考える。別に、撮影許可の条件を細かく確認したわけではないが、当然の規定と考える。

 慌てて付け足すと、国立博物館の展示品を単に撮影したものでなく、動画などを駆使した映像作品として制作したものは、新たな著作物であり著作権が発生する。

 そのような著作物の複製利用は、特別な許可を必要とすることは言うまでもない。

以上

« 新・私の本棚 石井 謙治 「古代の船と航海の歴史」 再掲 1/2 | トップページ | 私の本棚 41 笛木 亮三 「三国志の写本検索」 季刊「邪馬台国」 128号 1/2 »

私の本棚」カテゴリの記事

季刊 邪馬台国」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 新・私の本棚 石井 謙治 「古代の船と航海の歴史」 再掲 1/2 | トップページ | 私の本棚 41 笛木 亮三 「三国志の写本検索」 季刊「邪馬台国」 128号 1/2 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道 2017
    途中経過です
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝新考察
    第二グループです
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は歴史学・考古学・民俗学研究機関ですが、「魏志倭人伝」関連広報活動(テレビ番組)に限定しています。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 陳寿小論 2022
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
無料ブログはココログ