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2024年5月24日 (金)

新・私の本棚 水林 彪 「漢武帝・宣帝の半島・列島支配 2/6 再構成

中国古代帝国主義の東夷支配:その始まり」 『纒向学の最前線』 「纒向学研究」 第10号
桜井市纒向学研究センター「センター設立10周年記念論集」 2022/7 
私の見立て ★★★☆☆ 未完の大器 瑕疵幾度  2024/05/13, 05/17, 06/17

*虚空の銅鐸「文化」
 続いて、氏は、考古学の成果である「銅鐸文化」の年代、地域比定を取り入れ、列島内の地域性を述べていますが、銅鐸によって確認できるのは、「特定の技術を有した集団が一貫した作風で銅鐸を制作していた」と言う工芸技術論であり、当時文字史料が存在していない以上、それが「文化」と呼ぶに値するかどうか不確かであることを示しています。時代錯誤と見えます。(「銅鐸に金文はない」ものとみています)

*未開の「ゲノム」解析
 続いて、現代科学の先端である「ゲノム」解析による人種比定を取り込み、漢、韓の人種特性が捉えられて/創造されていますが、学術的な支えが稀少で未検証遺物に依存との難点を押し流して「新説」崇拝の弊に陥っています。
 何しろ、氏は、長江下流域に存在していたと推定する集団に前五十(七十?)世紀の年代を比定し、その後、山東半島付近に前二十四(四十四?)世紀の集団を比定し、更に、半島西南部に前十一世紀を比定する大技連発のあと、当該地区で形成された「弥生人」の水田稲作集団が、大挙北九州に渡来したとしています。今一つの「時代錯誤」です。
 「新説」の(カラ)さわぎと云えば、水林氏は、毎日新聞専門編集委員までのめりこんでいた「架空地図」のホラ話の悪疫から醒めていないのでしょうか。

*壮大な構想
 氏は、長江下流から山東半島までの区間を水田稲作の到来始点としていますが、山東半島が稲作技術の伝道基地となった理由はよくわかりません。水利不便とみえるのですが、水田遺構が大規模に出土しているのでしょうか。

*緩やかな移住経路~私見 
 当ブログ記事筆者の私見として、水田稲作が、 東夷の発祥地たる戦国齊領域に展開した後、半島東南部経由で北九州に伝播したという構想に同意します。
 ただし、以後の伝播経路には、異論があります。韓半島への集団移住には、渡海の「容易さ」が必要/必須であることから、先ずは、もっとも早期に定着していたとみえる遼東半島への渡海の可能性が高く、後に開拓された(唐代命名とみえる)唐津(タンジン)辺りへの渡海が落とし所と見るものです。
 ともあれ、半島に渡海/定住すれば、後は、陸上の話ですから、歳月を味方に東南方に展開し、後世の狗邪韓国から筑紫に渡ることも、むしろ確実な渡海「解」と見える、というのは、「倭人伝」依存症の偏見の技でしょうか。いや、この辺りは、水林氏の触れていない当ブログ筆者の固執ですから、読み飛ばしていただいて結構です。

*「東夷」幻想~私見 
 前十世紀辺りでは、当時、半島基部の戦国「齊」が形成されていた時代であり、臨菑は、漢書で言う「一都會」、すなわち、人、物、金の交流の要として繁栄していたとされるから、孔子の云う「東夷」である目前の韓半島に新天地を求めたかもしれません。渡海行程は、軽微な筏で移動できたから、水田稲作に必要な農具、技術、そして、肝心な種籾を携えた集団が移動できたと思われますが、半島南部から北九州への移動は、大変至難と見えます。

 さらりと、餅の画を描いて、それで一丁上がりではないのです。

                                未完

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