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2024年5月28日 (火)

新・私の本棚 古田史学論集 24 正木裕 改めて確認された「博多湾岸邪馬壹国」補充 2/3

 古代に真実を求めて 俾弥呼と邪馬壹国 明石書店                       2021/03/30 
私の見立て ★★★☆☆ 堅実な論議が学界ぐるみの時代錯誤の側杖(そばづえ)を食っている。 2022/05/16 2022/11/10

*関連資料評
Ⅰ.古代の宮都 (奈良県立橿原考古学研究所)
「飛鳥の宮」 宮都とは、もともと「宮室、都城」を略した言葉です。宮室は天皇の住まいを意味し、都城はそれを中心とした一定の空間のひろがりを示しています。古代の宮都は、政権の所在地であるとともに、支配力の絶対性を象徴する存在でもありました。飛鳥時代になると、わが国は中国から新しい制度を取り入れ、「律令国家」とよばれる新しい国づくりをめざします。そのため、古代の宮都の変遷には、当時の支配者の意図が如実に反映されることとなり、古代国家の形成過程が具体的にあきらかとなります。

*コメント
 「宮都」は橿考研造語ではないが、中国古典書に出典が見当たらず、「宮室」「都城」の解釈に「和臭」が漂って「定義」が不明瞭である。

 「宮室、都城」と言うが、それぞれの単語の意義が吟味されていない。「宮室」は「宮」の一室でしかない一方、「都城」は隔壁集落の一形態であり特段の機能を示していない。つまり、当該政権支配者の居処とは見て取れない。「都城」の「都」に、天子の権威を見たくても、中国古代史で普遍的に支配的な解釈とは見えない。
 要するに、折角の絵解きであるが、大小長短に差異のある二概念を一括りにして何かを示すのは、学術用語として大変不可解である。

 案ずるに、諸兄姉は、「京都」なる中国語成句が、国内史では平安京に固く連結しているので、同義と見た「宮都」に回避したのだろうが、検討不足と見える。

 要するに、素人目には、「宮都」は、(中国)古典書に確たる用例の無い、国内史学会自家製「新語」、手間味噌造語と感じたが、素人ならぬ中国史学界の権威から、別途異議が提示されているので、続いて紹介する。

 なお、この「新語」は、三世紀に対して不整合であるが、この点は別義とする。

*「物々しい造語」の空転
 それにしても、「支配力の絶対性を象徴する」とは、物々しく、意味不明な概念であり、なぜ普通の言葉で言えないのか不審である。何か、業界の申し合わせでもあるのだろうか。
 「宮都」を根拠として「政権」が確立して、「支配範囲」に対抗者がなければ、自然に「絶対性」が見えるが、所詮、「支配範囲」の外は保証の限りでない「井蛙」の世界観である。但し、善悪の評価は別義とする。

 端的に言うと、藤原京、平城京、長岡京時代に続いて千年を閲した平安京時代のどのような状態を指して「宮都」というのか、少なくとも、素人には大変不明瞭である。まして、
 論じる時代の「世界観」の等身大、同時代の理解がないと、いかなる比喩も空を切る。それには、不当な造語を、何としても避けるべきである。
 当記事筆者の勝手な「意見」を、諸兄姉に返させていただく。

                                未完

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