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2024年5月 1日 (水)

毎日新聞 歴史の鍵穴 批判 2014/10 再掲

                      2014/10/15 2024/05/01

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲していることをお断りします。

◯始めに
 歴史学者諸賢の学説は、拝聴することにしているのだが、毎日新聞(大阪)夕刊文化面の連載記事『「歴史の鍵穴」 難波津と安積山 紫香楽宮を挟んで両極端』は、ちょっと/猛然と暴走したように見えるので、指摘させていただきたい。
 いや、これまでも、「歴史の鍵穴」氏が展開する牽強付会の意味付けには、ちらちら/毎度毎度首をかしげていたのだが、世間に良くあることなので、見過ごしていたものであるが、今回は、あんまりにも、あんまりなのである。

*首尾不明の迷走
 本日の記事の導入は、宮町遺跡で発掘された木簡の両面に書かれている難波津の歌と安積山の歌の読まれた舞台の位置が、地理的に対極の関係にあるという説である。
 また、記事の最後の部分の導入は、8世紀中期当時の都である紫香楽の宮から見て、難波津は南西の地の果て(断定)であり、安積山は北東の地の果てに近いと書き、記事を締めにかかっている。

 しかし、掲載されている地図を見るまでもなく、大阪湾岸の難波津が「地の果て」とは、何とも、不思議な見方で、とても同意できないのである。
 確かに目前に海はあるが、つい、その向こうには、別の陸地があるのは、漁民には衆知であり、また、一寸、北に寄って、今日言う山陽道を西へひたすら辿れば、下関あたりまで延々と陸地であり、そこで海にぶつかるとは言え、すぐ向こうに九州の大地がある。

 いくら、遙か1200年以上昔の事とは言え、大抵の漁民は、その程度の知識を持っていたはずであり、況んや、漁民達より深い見識を有する都人(みやこびと)は、難波津が地の果てなどとは思っていなかったはずである。

 「専門編集委員」ともなれば、無検閲で自筆記事を掲載できるのだろうが、この程度の中学生でもわかる不審な言い分を載せるのは、どうしたことだろう。

 ここで提示されている地図を見ると、確かに安積山は、遙か北東遠隔の地であり、到達に数ヵ月かかるから、現地確認など思うもよらず、ここが地の果てと言われても、同時代人は反論できなかったろうが、難波津は、せいぜい数日の行程であり、ほん近間である。
 これらの二地点を、対極というのは、字義に反するものである。

 また、大局的に見ると言うことは、さらに縮小した地図を見ることが想定されるが、そうしてみれば、難波津は紫香楽宮のすぐ隣である。ますます、字義から外れてくる。

 斯界の権威が自信のある自説をはるばると敷衍しようとするのは当然としても、なぜ、ここまで、遠慮のない言い方をすると、こじつけの域を遙かに超えた無理な見方をするのか、理解に苦しむのである。 

 今回の記事の説が成立しなくても、前回までの議論に影響はないように思うのである。 

 都の東西に対極があるとする見方に固執するのであれば、安積山が大体このあたりとして、難波津は、地図の左にはみ出して、下関や博多あたりが、距離として適地である。実は、九州に難波津を想定しての発言なのであろうか。
 また、南西という方角にこだわるなら、宇和島あたりであろうか。それとも、いっそ都城か。
 対極をともに想定地に固定維持すると、都は、近畿にとどまることはできず、飛騨高山か飛騨古川あたりに、紫香楽宮の位置をずらさねばなるまい

 そうした、無理に無理で重ねる作業仮説が否定されて退場すると、木簡の裏に二つの歌が並べて書かれていたからと言って、同時代人が、両者の舞台を、地理的な対極に想定していたとは言えない、と言う至極当たり前の意見に至るのである。
 「回答の選択肢から、可能性の無いものを取り除くと、残されたものが、正解である」と古人は述べている。宜なるかな。

 これほど、素人目にも明らかな齟齬であるから、「専門編集委員」と言えども、PCソフトに相談するだけでなく、発表以前に、生きた人間、それも、経済的に利害関係のない人間の率直な意見を仰ぐべきではなかったかと思うのである。

以上

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