新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 2/5 再掲
番組放送年 1989年 NHKオンデマンドサービス(有料)で視聴可能
私の見立て★★★★☆ 必見 2019/01/13 補充 2020/03/11 2024/06/07
*加筆再掲の弁
最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。
よみがえる邪馬台国 第一回 発掘・吉野ヶ里遺跡
*「吉野ヶ里」遺跡概観
遺跡整備される前の現地の様子が空から確認でき、発掘現場の生の声が聞けるのはありがたいのです。
*偶然の賜物
安本美典氏によれば、佐賀県が当地域に工業団地を造成する際に、山麓は遺跡を包含している可能性が高いので、遺跡のないと思われる地帯を発掘調査したら、予想に反して二十五㌶に及ぶ大遺跡が出現して、関係者は大パニックに陥った。とのことです。して見ると、今後とも、遺跡有望地帯に発掘の手が伸びることは、一切ないのでしょうか。
*虚心の徳
全体に、当遺跡関係者は、先入観なしに虚心に発掘した様子が窺えて好感が持てるのです。
遺物の究明に際して、謙虚に諸機関、企業の協力を仰いでいるのも、当然とは言え、見事に思えます。案ずるに、高島忠平氏を初めとする発掘関係者諸兄が、「何かを掘り出して見せないとダメだ」というような余計な切迫感をもっていなかったためと思われます。
奇跡は、不意に訪れるものです。
*物資渡海
ちなみに、出土した貴重な三物資のうち、銅剣が、半島西部の後の百濟相当地域の南部、今日の忠清南道(略称 忠南)から到来したとは自然な見解ですが、それと別に長江(揚子江)河口近くから到来した鉄や長沙から到来したガラスの到来ルートが、北に渤海を大きく迂回した陸上ルートで図示されているのは残念です。当然、山東半島(莱州)から、身軽な渡船で目前の忠南に着いたと見るべきでしょう。このあたりの誤解は、後世まで頑固に引き継がれていて、諸考察を謬らせているのが、残念です。
九州と忠南は、多少日数はかかっても、直接、つまり、楽浪/帯方郡を介することなく交信・往来ができたでしょうから、銅剣産地から南方の鉄やガラスも共に手に入れたと見れば、三者三様の交易ルートを探す必要がなくなります。
吉野ヶ里住民が、万里の異郷と交流、交易する必要はないので、巨大商社の幻像を見る必要がなくなります。
ちなみに、三物資の到来は、おそらく、忠南から東に竹嶺で山地越えしてから洛東江沿いに南下して半島南岸に達し、半島南岸、対馬、壱岐、九州の三区間をそれぞれ渡海する便船で南下したのでしょう。
それなら、『極めつきの難所であって一貫航行など「はなから不可能」である半島西岸、南岸の多島海』を通らなくてよいので大変安全・確実なのです。
そのような交易路が想定できるので大変ありがたい絵解きでした。後に、弁辰産鉄の楽浪郡納入や弁辰からの文書通信のために、駅逓を備えた帯方郡官道が成立したと見ることができるのです。
*現地現場は宝の山
と言うことで、この回の教訓は、現場に近いところには、宝物が転がっているという事です。本物の現場には、もっと沢山あったかも知れませんが、大抵、細かい、ささやかなものは押し入れの奥に引っ込んでいるのです。
言うまでもないですが、この当時、大陸産物は道の果ての吉野ヶ里に集まり、東方には時間をかけて交易の鎖を順次渡って、年月をかけて滲出するので、この時代、各地に同等の豊かさはなかったでしょう。
*山一の道~私見
当ブログでは、北九州から東方には、南下した日田から東に大分の海岸に出て、そこから、軽快な渡船で渡れる三崎半島を経由する経路を提唱していて、以下、伊豫の山を一路走っている中央構造線に導かれて、大鳴門の海岸に出る完全陸上経路を想定しているのです。
よくいわれる、瀬戸内海東西航行の難所克服は関係無いのです。特に、関門海峡を通らないのは、当時、堅固な木造船が存在しなかったから、通行できなかったというものであり、大鳴門まで出ると、喧伝される明石海峡、鳴門海峡の難所を回避しているので、三世紀、ないしは、それ以前の交通路として、特に論証の必要のない、安全・確実な経路と見ているのです。
この回完
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