« 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 3/5 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 1/5 再掲 »

2024年6月 8日 (土)

新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 2/5 再掲

 番組放送年 1989年 NHKオンデマンドサービス(有料)で視聴可能
 私の見立て★★★★☆ 必見    2019/01/13   補充 2020/03/11 2024/06/07

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

よみがえる邪馬台国 第一回 発掘・吉野ヶ里遺跡
*「吉野ヶ里」遺跡概観

 遺跡整備される前の現地の様子が空から確認でき、発掘現場の生の声が聞けるのはありがたいのです。

*偶然の賜物
 安本美典氏によれば、佐賀県が当地域に工業団地を造成する際に、山麓は遺跡を包含している可能性が高いので、遺跡のないと思われる地帯を発掘調査したら、予想に反して二十五㌶に及ぶ大遺跡が出現して、関係者は大パニックに陥った。とのことです。して見ると、今後とも、遺跡有望地帯に発掘の手が伸びることは、一切ないのでしょうか。

*虚心の徳
 全体に、当遺跡関係者は、先入観なしに虚心に発掘した様子が窺えて好感が持てるのです。
 遺物の究明に際して、謙虚に諸機関、企業の協力を仰いでいるのも、当然とは言え、見事に思えます。案ずるに、高島忠平氏を初めとする発掘関係者諸兄が、「何かを掘り出して見せないとダメだ」というような余計な切迫感をもっていなかったためと思われます。
 奇跡は、不意に訪れるものです。

*物資渡海
 ちなみに、出土した貴重な三物資のうち、銅剣が、半島西部の後の百濟相当地域の南部、今日の忠清南道(略称 忠南)から到来したとは自然な見解ですが、それと別に長江(揚子江)河口近くから到来した鉄や長沙から到来したガラスの到来ルートが、北に渤海を大きく迂回した陸上ルートで図示されているのは残念です。当然、山東半島(莱州)から、身軽な渡船で目前の忠南に着いたと見るべきでしょう。このあたりの誤解は、後世まで頑固に引き継がれていて、諸考察を謬らせているのが、残念です。

 九州と忠南は、多少日数はかかっても、直接、つまり、楽浪/帯方郡を介することなく交信・往来ができたでしょうから、銅剣産地から南方の鉄やガラスも共に手に入れたと見れば、三者三様の交易ルートを探す必要がなくなります。
 吉野ヶ里住民が、万里の異郷と交流、交易する必要はないので、巨大商社の幻像を見る必要がなくなります。

 ちなみに、三物資の到来は、おそらく、忠南から東に竹嶺で山地越えしてから洛東江沿いに南下して半島南岸に達し、半島南岸、対馬、壱岐、九州の三区間をそれぞれ渡海する便船で南下したのでしょう。
 それなら、『極めつきの難所であって一貫航行など「はなから不可能」である半島西岸、南岸の多島海』を通らなくてよいので大変安全・確実なのです

 そのような交易路が想定できるので大変ありがたい絵解きでした。後に、弁辰産鉄の楽浪郡納入や弁辰からの文書通信のために、駅逓を備えた帯方郡官道が成立したと見ることができるのです。

*現地現場は宝の山
 と言うことで、この回の教訓は、現場に近いところには、宝物が転がっているという事です。本物の現場には、もっと沢山あったかも知れませんが、大抵、細かい、ささやかなものは押し入れの奥に引っ込んでいるのです。

 言うまでもないですが、この当時、大陸産物は道の果ての吉野ヶ里に集まり、東方には時間をかけて交易の鎖を順次渡って、年月をかけて滲出するので、この時代、各地に同等の豊かさはなかったでしょう。

*山一の道~私見
 当ブログでは、北九州から東方には、南下した日田から東に大分の海岸に出て、そこから、軽快な渡船で渡れる三崎半島を経由する経路を提唱していて、以下、伊豫の山を一路走っている中央構造線に導かれて、大鳴門の海岸に出る完全陸上経路を想定しているのです。
 よくいわれる、瀬戸内海東西航行の難所克服は関係無いのです。特に、関門海峡を通らないのは、当時、堅固な木造船が存在しなかったから、通行できなかったというものであり、大鳴門まで出ると、喧伝される明石海峡、鳴門海峡の難所を回避しているので、三世紀、ないしは、それ以前の交通路として、特に論証の必要のない、安全・確実な経路と見ているのです。

                            この回完

« 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 3/5 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 1/5 再掲 »

倭人伝随想」カテゴリの記事

新・私の本棚」カテゴリの記事

NHK歴史番組批判」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 3/5 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 番外 NHKスペシャル よみがえる邪馬台国 全三回 1/5 再掲 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は、広大な歴史学・考古学・民俗学研究機関です。「魏志倭人伝」および関連資料限定です。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 資料倉庫
    主として、古代史関係資料の書庫です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
  • NHK歴史番組批判
    近年、偏向が目だつ「公共放送」古代史番組の論理的な批判です。
無料ブログはココログ