« 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 6/6 | トップページ | 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 4/6 »

2024年7月27日 (土)

新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 5/6

日本書紀に「卑弥呼」も「邪馬台国」も出てこない本当の理由 PRESIDENT Online 2023/11/04
 私の見方 ☆☆☆☆☆ 知的なゴミ屋敷 早すぎる墓誌銘か  2024/03/16,07/27

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

*承前
 「漢字表記は、特に人や地域の名称は「音」にあてこまれているだけですから、解釈の可能性は広いのです」と「誠実な」発言です。凡そ「可能性」は、無限に、限界不明に広がるものなので、「広い」と刻まれると愕然とします。氏の心身は、時に、健全化するのでしょうか。小見出しの「だけ」は大見得の逃げ口上と見えます。

我が国の正史である『日本書紀』には、「邪馬台国」も「卑弥呼」も登場しませんが、「邪馬台国(やまたいこく)」と「倭国(やまとこく)」は音が似ていますし、「卑弥呼(ひみこ)」と「姫御子(ひめみこ)」も音が似ています。

 蕃夷に「正史」は無いので、中国に知られると死罪ものです。
 「音が似ている」との暴言は、なぜそう思うのか、カウンセリングが必要です。
 丁寧に言うと、後漢書に登場した「邪馬臺国」は、「邪馬台国」と字が違い、発音も違うのですが、その程度のことも知らないでいるのでしょう。三世紀当時、「倭国」をヤマトコクと発音することはないのです。「姫御子」は、三世紀当時の史料に存在しません。好き放題に書いていて、誰も止めないのが不思議です。出版界に職業的な良心は存在しないのでしょうか。

完全に嘘ではなく、魏志倭人伝に登場する人物に相当するような誰かが日本列島にはいたかもしれない、という、そのくらいの仮説は立てることができるでしょう。
 「不完全な嘘」など、何の役にも立たないでしょう。因みに、臆測では「仮説」は立てられないのです。せいぜい勉強してください。

日本書紀を無視して、「中国の歴史書」を絶対視する違和感

 二千年前の異文化著作に「違和感」がないなら神懸かりです。氏の偏愛する「絶対視」は、時代錯誤の漫談用語です。

受験生が丸暗記させられる用語を羅列します。
・漢書地理志 =漢の時代。楽浪郡の向こうで倭は百くらいの国に分かれていた。
・後漢書東夷伝=後漢の時代。光武帝に挨拶に来た倭奴国王に金印をあげた。
・魏志倭人伝 =三国時代。倭の邪馬台国の女王卑弥呼に親魏倭王の金印をあげた。
・宋書倭国伝 =南北朝時代。宋に五人の倭王が次々と挨拶に来た。
・隋書倭国伝 =隋の時代。倭の多利思比孤(タリシヒコ)が生意気な挨拶をした。

 氏の創作はともかく掲示されているのはいい加減な史書名とそれに続く「字句」であって、「用語」等ではありません。随分いい加減で、すべて誤解に過ぎません。「金印をあげた」と五人の倭王訪宋と俀国王訪隋挨拶新説連発には失笑します。

ふう~ん。飛ばして次。三国時代の中国は、魏・呉・蜀に分かれていました。日本列島から一番近いのが、魏です。「魏志倭人伝」には、魏の明帝が卑弥呼に対して「汝を親魏倭王として、金印・紫綬を与えよう」という勅を発したということが書かれています。

 そのようなことは一切書かれていません。「おねむ」の時間でしょうか。

*書紀聖典化の徒労
これも何回か紹介しましたので、次。さっさと本節の主題です。
江戸時代から繰り返される「倭の五王」の議論
日本の歴史学者は、「讃・珍・済・興・武」がどの天皇にあてはまるかを必死になって研究しています。別に戦後歴史学の弊害でも何でもなく、江戸時代からあんまり進歩せず。どうみても、系図が合いません。さすがにこればかりは、『日本書紀』の系図は間違いだと言い出す愚かな学者がいないところが、古代史学者の良識でしょう。近代史だとそのレベルのやらかしが日常ですから。

 当然、史料として確立されていない「書紀」の記事に、悉く疑念を呈するのが学問の道ですから、氏のように、何も知らない門外漢の生かじりで「愚かな学者がいない」とは、知らない者の強みから来る天下無敵の自爆発言ですが、氏の自爆はここまでに多発していて、今更言うことはないのです。
 何故、誰も教えてあげないのか、不思議です。
                            未完

« 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 6/6 | トップページ | 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 4/6 »

歴史人物談義」カテゴリの記事

新・私の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 6/6 | トップページ | 新・私の本棚 番外 倉山 満 学校で習った「中国の歴史書」はデタラメばかり 4/6 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道 2017
    途中経過です
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝新考察
    第二グループです
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は歴史学・考古学・民俗学研究機関ですが、「魏志倭人伝」関連広報活動(テレビ番組)に限定しています。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 陳寿小論 2022
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
無料ブログはココログ