« 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  6/11 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  4/11 再掲 »

2024年7月 8日 (月)

新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  5/11 再掲

 日本文学の歴史 第一巻 神と神を祀る者  昭和42年5月10日刊
 ムラからクニへ  執筆者 小林行雄 (1911年8月18日 - 1989年2月2日 文学博士)
 私の見立て 全体 ★★★★☆ 学識芳醇 当コラム ★☆☆☆☆ 多々認識不足 2016/08/12 補充 2024/07/08

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

*主観的な史料評価と採否
 「倭人伝」記事に対する評価は、執筆者の心の揺れに応じて、うねっているようである。

 官吏の名称を卑狗とか卑奴母離とかの文字で表記しているのが、ヒコやヒナモリという昔を伝えたものとすれば、当時の言語がのちの彦・夷守という日本語と同一であったことを証明する重要な材料になる。
コメント ここでは、壮大な仮説の証拠として援用されているのである。

 このほか、「魏志」倭人伝は、倭国の風俗習慣や産物などについても、詳しく言及しているが、かなり想像をまじえたものとみられるから、いまは引用を避けておきたい。
 ただし、かりにその報告がかなり正確なものであったとしても、『魏志』倭人伝の記事は、撰者である陳寿や、彼が参考にした『魏略』を編纂した魚篆が、想像をまじえて作文した部分を含んでいるので、そのまま全面的に信頼することはできない。
 『魏書』東夷伝の執筆にあたって、陳寿は『魏略』の文章をしばしば借用した。しかも、原文に多少の変更を加えたので、真実から遠ざかる結果になった部分ができた。
コメント と言う具合に、執筆者の気に入らない部分には、主観的な理由を付けて、容赦なく排除する方針なのである。
 こうした判断は、全面的な断言となっていないので、当方は、批判しても否定は出来ないのだが、こうした当てこすりは、学術論考では、感心しないのではないかと思うのである。

 また、素人目には、「そのまま全面的に信頼することはできない。」というのは、史料に対する態度として、極めて健全であり、むしろ。肯定的な意見と見る。よって、一見否定形の構文は、かなり信頼性の高い史料への評価と見られ、そのような史料の一部を信頼できないとして除外する際には、的確な根拠の元にそのような判断が示されるべきものと思う。

*推定無罪原則
 話の筋がこんがらかったようなので、真っ直ぐに言い直すと、当ブログ筆者の愚考するに、倭人伝」は、同時代史料としてほぼ唯一のものである以上、部分的であろうと、故なくして排除すべきではないと考えるものである。
 また、執筆者が、史書の編纂にあたって「編者が個人的な想像を交えて創作した」などと譏っているのは、根拠のない憶測であり、執筆者ほどの学識、識見の持ち主がとるべき態度とは思えない。三世紀、西晋の史官は公人であり、当時最高の専門的な教養を有する職務に付いていたのであるから、「個人的な想像」などと、二千年後生の無教養な島夷と同列に貶める発言は、控えていただきたいものである。

 率直なところ、素人論者の身の程を弁えず、執筆者の姿勢を批判するのは誠に僭越の極みなのだが、上のような史料評価というか「断罪」は、相当明確な根拠が無い限り、考古学者として避けるべきと考える。
 現世の浮き世の法の裁きがそうであるように、例えどのような嫌疑を受けても、法の裁きが下るまでは、無罪と推定されるのである。

*弁護でなく、摘発でなく、適切な批判
 ここまで、手厳しい意見になってしまったが、それは、「倭人伝」に対して、合理的でない理不尽な非難を示されていることから来るもので有り、執筆者の高名にふさわしい適切な史料批判が行われていたら、ここまで反発しないのである。

未完

« 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  6/11 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  4/11 再掲 »

新・私の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  6/11 再掲 | トップページ | 新・私の本棚 小林 行雄 神と神を祀る者 ムラからクニへ  4/11 再掲 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道 2017
    途中経過です
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝新考察
    第二グループです
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は歴史学・考古学・民俗学研究機関ですが、「魏志倭人伝」関連広報活動(テレビ番組)に限定しています。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 陳寿小論 2022
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
無料ブログはココログ