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2024年7月16日 (火)

私の本棚 年表日本歴史 1 筑摩書房 5/7

1 原始▶飛鳥・奈良 ( ー783)1980年5月刊 編集 井上光貞 児玉幸多 林屋辰三郎 編集執筆 黛弘道
私の見立て 全体★★★☆☆ 本冊 ★☆☆☆☆ 「歴史的」誤記事   2017/01/16 補追 2024/07/16

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

[承前]
*余談3 遅れて至るものは斬る
 いうまでもないが、帯方郡が魏朝直轄になったことや遼東が魏朝の遠征軍によって滅ぼされるということは、それ以前に、都度、各東夷に急報されている。合わせて、中国に対する忠誠の証しとして、速やかに遣使せよ、ついでに遅れて至るものは斬る、とまでは言わないとしても、厳命したはずである。
 率直なところ、厳命を受けて、倭国は震え上がって、取るものも取りあえず使節を急行させたはずである。渡海して攻めて来ないとしても、朝鮮半島と交易禁止となると、対海国と一支国が飢餓に陥るなど、被害甚大なので、遅参は考えにくい。いや、その話は、今回の書評の本旨ではない。
 と言うことで、未開僻遠の東夷倭国は、皇帝逝去を早々に知ると共に、新帝の帝位継承、服喪に伴い、翌年一月一日をもって、新たな元号が開始することも予定されていたのである。

*場違い、それとも遅参
 一説のように、明帝逝去の六ヵ月後に倭国使節が朝献を求めたとしたら、遅参のわびと共に新帝への祝賀の使節と思われるが、記事には書かれていない。
 史書の外伝記事はそんなものなのだが、そのおかげで、絶海の東夷が噂を聞きつけてやってきたとか、東夷の首長が場違いな国際感覚で風評(風の便り)を手がかりに、「奇貨おくべし」(奇貨可居)とばかり、使節派遣を決断したとか、脚色、潤色されているのである。そこで、ここに一解釈を連ねているのである。
 さて、帯方郡にすれば、遠来遣使は郡太守の絶大な功績であり、太守の栄達に繋がるので結構なのだが、だからと言って、新来の東夷を国賓待遇として良いものかどうか。いや、後年、蛮夷の使節を賓客と呼ぶ例もあるのだが、本気でないのは明らかである。

 一説に従うと、この年、新帝祝賀に先立ち新帝の服喪と先帝大葬があるので、時期を外すと礼を失する危険があるのだが、郡太守は、むしろ無造作に倭国使節を帝都に送り込んでいるように見える。
 まあ、関係者の思惑は憶測するしかない。
 以上、今回の書評の本旨を少し外れた余談である。

未完

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