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2024年7月16日 (火)

私の本棚 年表日本歴史 1 筑摩書房 3/7

1 原始▶飛鳥・奈良 ( ー783)1980年5月刊 編集 井上光貞 児玉幸多 林屋辰三郎 編集執筆 黛弘道
私の見立て 全体★★★☆☆ 本冊 ★☆☆☆☆ 「歴史的」誤記事   2017/01/16 補追 2024/07/16

*加筆再掲の弁
 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

[承前]
*余談1 景初の暦制混乱
 中国の歴代王朝で受け継がれた伝統として、先帝逝去時、新帝は即刻即位するが、新元号は、先帝の没年の明ける新年から適用される。
 従って、景初三年は、本来、元号の主である皇帝のいない一年のはずだったが、新帝は、年の半ばで暦制を変え、変則的な運用としたのである。
 合わせて、先帝のなくなった命日を景初二年十二月一日(正規の十二月に続く本来の新年正月を同年の「後十二月」とした)とし、すでに、景初三年二月とされていた月が、遡って景初三年一月とされた。
 既に六月になっての遡及であり、各種記録の修正など、政府機関の業務に大変な影響があったろうし、民間にも、迷惑が及んだものと思われる。
 また南方の東呉、つまり、孫権政権は、独立を謳い独自元号を定めても、魏朝の暦を流用していたから、年の途中での改暦にうまく追随できなかったのではないかと思われる。呉書は、呉暦に基づいて書かれているのだが、魏の元号と一年ずれている記事がある。

 それはさておき、先帝が景初二年十二月に亡くなったとした以上、景初三年の新年で改元すべき所だが、既に六月(いや、実際は五月か)であったから、年初に遡って改元もできず、翌年改元としたようである。
 このように、景初三年は、年半ばでの改暦により一カ月ずれて、何とも、誤解を多発する事態になったのである。こうした魏朝改暦の顛末は、当ブログ筆者の誤解の可能性があるので、ご注意いただきたい。
 以上、今回の書評の本旨を少し外れた余談である。

*東夷諸国通信事情
 さて、魏首都雒陽から帯方郡、そして東夷諸国への通信状態を確認しておく。魏朝は、創業者曹操の指示で、伝令が早馬で通常の通信の何倍かの速度で報告、通達を伝達する急報制度が全国に設けられていたので、「国内」である帯方郡との通信は、迅速、かつ、確実であったと思われる。
 「倭人伝」によれば、倭人は、帯方郡と文書通信を維持していたようであり、景初遣使に際しても、帯方郡からの督促、倭国からの遣使予告などが伝わっていたはずである。

未完

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