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2024年9月22日 (日)

新・私の本棚 番外 毎日新聞【松井宏員】散歩日和 奈良凸凹編 大倭/2

散歩日和 奈良凸凹編 大倭/2(奈良県桜井市)卑弥呼に重なる伝説 毎日新聞大阪夕刊 2024/9/18
私の見立て ★★★☆☆  場違いな力作 前途遼遠  2024/09/22

◯はじめに
 今回は、前回の既存史料貼り合わせを離れ、梅林氏の御高説を、記者が伝道していると見える。継ぎ接ぎ感は薄れても、氏の話の筋が揺らいでいて、頼りない。「散歩」が散漫では困る。ちゃんと「レジュメ」を踏んで欲しい。

◯記事引用御免 字数制限のため、中略...多用失礼。
 国道側から近付いていく。古墳の森...。古墳には...周濠...がよく見られる...

 記者の放言と見えるが。それにしても、矢継ぎ早の「古墳」が揺らぐ。一つ目は目前の箸墓、二つ目は地域の「古墳」一般か。「良く見られる」と言うが、箸墓に「周濠」はなかったのか。随分不用意である。

「手前が前方ですね。当時の人は、この大きさにびっくりしたでしょうね」と梅林秀行さん。全長約280メートルのサイズ...

 「手前が前方」なら奧は後方か。末尾で「後円部」と書いていて、この場の失言をそのまま引用されては、論者として粗雑である。
 文字起こしの時に、引用部を追加すれば、つまらない揚げ足取りはされないのだが、梅林氏は、本記事を校正しなかったのだろうか。古来、記者の聞き取りが粗雑なのは、学界の常識と思うのだが、梅林氏は、考古史学会に属していないので、言いっぱなしで安穏としているのだろうか。
 当時、メートル表記も「サイズ」もなかった。「全長」実測したのだろうか。

 宮内庁は被葬者を...モモソヒメ...として陵墓指定している。―
 孝霊天皇は実在しないと考えられているからモモソヒメも実在の人ではないが、...神性を持つシャーマン的なところが卑弥呼と重なる...

 「モモソヒメも実在の人ではない」との断定はどんなものか。当時、『神と結婚するという神性を持つ「シャーマン」』など生齧りの言葉はなかったから、「卑弥呼」に重なるかどうかわかるはずがない。記者は、神がかりなのか。宮内庁書陵部」誹謗は、止めたのか。

 「古墳は鍵穴の形だけでなく、...」...日本書紀は、大坂山の石を...手渡しで運んだ、という。...フィクションではないのかもしれない。

 「古墳」の「鍵穴」とは、往年の毎日新聞名物コラムか。「フィクション」が意味不明だが、記者は、書紀「偽書」説なのか。趣旨不明である。

 「実は幅10メートルくらいの周濠跡...外堀がため池と化した...その先で交差するのが、いにしえからある上ツ道だ。...

 巾十㍍程度の「周濠」は何なのか。ため池」は纒向川から取水し貯水、水分する灌漑施設を計画造成したのではないか。「周濠」は「ため池」か。言葉が乱れていて、眩暈しそうである。
 意味不明の「交差」物「上ツ道」造成は、「いにしえ」と茫漠としているが、要するに箸墓造営以前か以後か。大事な事項である。

 「...箸墓は一から盛り土している。...」。...外堀になった可能性もある。
 ...「手前の大きな石が...」...十数キロを運ばれてきたのか。

 「外堀」談議ばかりで、幻の「内堀」はさておき、「箸墓」の石積みは、僅か十数キロの玄武岩一個で足りず数トンではないか。十数キロの岩を手渡しで「運ばれてきた」、いや、「運ばれていらっしゃった」はずもない。

 ...卑弥呼説もある箸墓古墳。被葬者をどう見るか? 「それ以前とは比較にならない巨大な力を持った人物...巨大な墓...で新しい仕組みを作ろうとしたのか。...モモソヒメの伝説には卑弥呼の...イメージが投影された...

 氏の論理を追うにも「箸墓」遺跡と「卑弥呼」は異次元で同一視できない。「それ以前」と言うが「倭人伝」で卑弥呼は父祖を鬼神として事えたのであり、自身を鬼神に擬えるとは不遜である。「巨大な」力は数値化できるのか。
 「巨大な墓」で「新しい仕組みを作る」とは何のお呪いか見当もつかない。
 古代に「プロジェクションマッピング」で「イメージ」(画像)投影ができたとは考えられない。「倭人伝」に「卑弥呼」「画像」は、一切書かれていない。
 記者は、「散歩」の道すがら、実景を見ずになにを見ていたのだろうか。

◯まとめとして
 記者は、座学無しの「散歩がてら」、聞き歩き/眺め歩きとスナップショット撮影の取材行で、梅林発言をすらすら理解したのだろうか。神がかりなのだろうか。
 それにしても、記者も梅林氏も、「魏志倭人伝」を誤解し続けではないか。

                               以上

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