新・私の本棚 番外 毎日新聞【松井宏員】散歩日和 奈良凸凹編 大倭/4
大倭/4(奈良県桜井市) 時代先取り、柱が整列 夕刊総合 毎日新聞 2024/10/16 散歩日和
私の見立て ★★★☆☆ 場違いな力作 前途遼遠 2024/10/17
*始めに
速報である。中略引用の「所引」御免。
*コメント
「時代先取り」とは、途方もないホラ話である。とんだ超能力である。
「柱穴が整列」ではないのか。
*記事所引
辻地区の大型建物群跡は柱穴が縦軸に整然と並んでいる
「ホケノ山と箸墓の間には大きな断絶がありますね」と梅林秀行さん。
*コメント
そのような「深い谷」は、写真にも地図にも示されていない。不用意である。
*記事所引
纒向の中枢は都市で、その外に古墳が並んでいるイメージだ。
*コメント
纏向幻想(イメージ)である。三世紀当時「都市」など存在し得ない。
*記事所引
この一画だけ地面が高くなっていて、盛り土されているのかもしれない...
*コメント
幻想(イメージ)であるが、復元されているのは、柱穴から想定される柱である。盛り土「かも知れない」の第一感は確認されていないということか。
*記事所引
纒向遺跡の大型建物群の復元模型。
*コメント
幻想に基づく縮尺不明の模型を「大型」と言われて困惑するだけである。
*記事所引
...建物の外枠に柱穴があり、伊勢神宮の正殿と構造が似ている
*コメント
伊勢神宮が、纏向建物の後裔という指摘は新鮮である。
建物外枠に柱穴を穿って枘(ほぞ)組みしたとは聞いていない。
「首長」は存在したろうが、伝統される「王」かどうかは不明ではないか。
*記事所引
方角を意識して整列した建物ができるのは飛鳥時代後期。纒向の450年後まで出てこないんですから
*コメント
つまり、建物の軸をそろえるのは未曽有であり、それきりで滅びたのか。
*記事所引
祭祀(さいし)に使った道具を投げ込んだ祭祀土坑や、約2800個もの大量のモモの種、国内最古のベニバナ花粉などが発見されている。
*コメント
モモの種、ベニバナ花粉は、土坑以外のどこで発見されたのか。
*記事所引
纒向石塚古墳...「築造年代は...箸墓より古いと思われます」と梅林さん。...いずれも卑弥呼の墓候補だという。「纒向型は...規格があったとみられます」
*コメント
箸墓の年代が不確定である以上、他の古墳の年代も不明ではないか。何でもかでも「卑弥呼」の墓候補であれば、発掘事業は永久不滅ということか。「規格」は、技術文書であり三世紀当時ありえない。
*記事所引
「纒向は4世紀前半、ある日突然、なくなるんです。ひょっとしたら、纒向はその後、高台に移転したのかも。」弥生時代は空白地帯だったわけだ。
*コメント
「纏向」は、「纏向遺跡」のことと思うが、「遺跡」は移転できないのではないか。結論部で突然、「宮」が乱入して読者は混乱する。どんでん返しである。記事前半で力説したのを忘れているのだろうか。
「弥生時代は空白地帯」とは、「空白時代」の誤記ではないのか。
*記事再確認
纒向は東西約2キロ、南北約1・5キロという広大な面積で、その中に箸墓もホケノ山も含まれる。纒向の中枢は都市で、その外に古墳が並んでいるイメージだ。
*コメント
要するに、「纏向」の定義が混乱しているのである。
*総評
当記事は、署名記者の「作品」と見られるので、こうした混乱は、もったいないのである。読書欄で、若島正氏ほどの練達の著者でも、書評の短文に編集部からタップリした「赤」をいただいたという。記者の玉稿は、見放されているのかと邪推しそうである。
それにしても、全国紙の大々的な記事は、漏れなく周到な校正がされていると期待したいところである。
以上
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