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2024年10月18日 (金)

新・私の本棚 番外 毎日新聞【松井宏員】散歩日和 奈良凸凹編 大倭/4

大倭/4(奈良県桜井市) 時代先取り、柱が整列 夕刊総合 毎日新聞 2024/10/16 散歩日和 
私の見立て ★★★☆☆  場違いな力作 前途遼遠  2024/10/17

*始めに
 速報である。中略引用の「所引」御免。

*コメント
「時代先取り」とは、途方もないホラ話である。とんだ超能力である。
「柱穴が整列」ではないのか。

*記事所引
 辻地区の大型建物群跡は柱穴が縦軸に整然と並んでいる
 「ホケノ山と箸墓の間には大きな断絶がありますね」と梅林秀行さん。

*コメント
 そのような「深い谷」は、写真にも地図にも示されていない。不用意である。

*記事所引
 纒向の中枢は都市で、その外に古墳が並んでいるイメージだ。

*コメント
 纏向幻想(イメージ)である。三世紀当時「都市」など存在し得ない。

*記事所引
 この一画だけ地面が高くなっていて、盛り土されているのかもしれない...

*コメント
 幻想(イメージ)であるが、復元されているのは、柱穴から想定される柱である。盛り土「かも知れない」の第一感は確認されていないということか。

*記事所引
纒向遺跡の大型建物群の復元模型。

*コメント
 幻想に基づく縮尺不明の模型を「大型」と言われて困惑するだけである。

*記事所引
 ...建物の外枠に柱穴があり、伊勢神宮の正殿と構造が似ている

*コメント
 伊勢神宮が、纏向建物の後裔という指摘は新鮮である。
 建物外枠に柱穴を穿って枘(ほぞ)組みしたとは聞いていない。
 「首長」は存在したろうが、伝統される「王」かどうかは不明ではないか。

*記事所引
 方角を意識して整列した建物ができるのは飛鳥時代後期。纒向の450年後まで出てこないんですから

*コメント
 つまり、建物の軸をそろえるのは未曽有であり、それきりで滅びたのか。

*記事所引
 祭祀(さいし)に使った道具を投げ込んだ祭祀土坑や、約2800個もの大量のモモの種、国内最古のベニバナ花粉などが発見されている。

*コメント
 モモの種、ベニバナ花粉は、土坑以外のどこで発見されたのか。

*記事所引
 纒向石塚古墳...「築造年代は...箸墓より古いと思われます」と梅林さん。...いずれも卑弥呼の墓候補だという。「纒向型は...規格があったとみられます」

*コメント
 箸墓の年代が不確定である以上、他の古墳の年代も不明ではないか。何でもかでも「卑弥呼」の墓候補であれば、発掘事業は永久不滅ということか。「規格」は、技術文書であり三世紀当時ありえない。

*記事所引
 「纒向は4世紀前半、ある日突然、なくなるんです。ひょっとしたら、纒向はその後、高台に移転したのかも。」弥生時代は空白地帯だったわけだ。

*コメント
 「纏向」は、「纏向遺跡」のことと思うが、「遺跡」は移転できないのではないか。結論部で突然、「宮」が乱入して読者は混乱する。どんでん返しである。記事前半で力説したのを忘れているのだろうか。
 「弥生時代は空白地帯」とは、「空白時代」の誤記ではないのか。

*記事再確認
 纒向は東西約2キロ、南北約1・5キロという広大な面積で、その中に箸墓もホケノ山も含まれる。纒向の中枢は都市で、その外に古墳が並んでいるイメージだ。

*コメント
 要するに、「纏向」の定義が混乱しているのである。

*総評
 当記事は、署名記者の「作品」と見られるので、こうした混乱は、もったいないのである。読書欄で、若島正氏ほどの練達の著者でも、書評の短文に編集部からタップリした「赤」をいただいたという。記者の玉稿は、見放されているのかと邪推しそうである。
 それにしても、全国紙の大々的な記事は、漏れなく周到な校正がされていると期待したいところである。

                                以上

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