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2024年12月14日 (土)

新・私の本棚 番外 『諸説あり! 「女王・卑弥呼の正体」』 三掲 3/4

 BS-TBS ▽邪馬台国2時間スペシャル!  2017/06/10 2017/12/30
 私の見立て★☆☆☆☆☆ 参考のみ                  2017/12/25 2019/04/21 2022/10/15 2024/12/14

*加筆再掲の弁

 最近、Amazon.com由来のロボットが大量に来訪して、当ブログの記事をランダムに読み囓っているので、旧ログの揚げ足を取られないように、折に触れ加筆再掲したことをお断りします。代わって、正体不明の進入者があり、自衛策がないので、引きつづき更新を積み重ねています。

*斯盧国(後の新羅国)
 無理な話をこね上げなくても、斯盧国に倭人難民が来たとしたら陸続きの半島西南部の倭人でしょう。それなら、随分筋の通る話です。
 先賢も、同様に「半島倭人であろう」と推定しています。学問の話で、下記四半世紀前の先行論を確認しないで、前人未到の新発見と手柄顔をするのは、恥さらしです。

史話 日本の古代 二 「謎に包まれた邪馬台国」 直木孝次郎編
『気候変動からみた「邪馬臺国」』 山本武夫 初出「史話 日本の歴史 第二巻 謎の女王卑弥呼」 作品社 1991.4
一九三年の条には、「倭人大飢来求食千余人」とある。この倭人は、おそらく朝鮮半島にコロニーをつくって在住していた倭種の人々を言うのであろう。倭国から飢餓の人々が千人程度も対馬海峡を渡って、確実な援助の当てもない隣国を訪ねるということは到底考えられないことだからである。

 ちなみに、氏の素人考えの発言とはいえ、古代史論に「コロニー」は時代錯誤、かつ、観点倒錯であり、当方の責任範囲なら、「コロニーをつくって 」の削除は必須です。専門分野外の発言は、よくよく確かめて公言すべきでしょう。
千人が海を渡ったとは、誰も主張していないので、つつかないことにします。
 無理ついでですが、筑紫倭国全部が飢饉では、互いに争う「乱」などできないのです。妄想を逞しくして隣人同士を闘わせる悪趣味の根源がわからないのです。

 一番科学的な見解は、そのような級外史料は信用できないから棄却する、と言うものです。

⑶ 霊力説の怪
 最後に、素人さんは、卑弥呼が「霊力」を示したなどとおっしゃるが、そんな「力」は、もともと実在しないから、示せるはずがないのです。
 これを受けてか、学会の権威者なるご老体から、もっともらしい、老女王は「呪力」を失ったなどと見てきたような「ほら話」が出てきますが、元々この世に無い幻想力ですから、力が弱ったり失われたりすることはないのです。
 ほら話の土台は「年長大」なる言葉が老齢の意と決めつけるものですが、これは、無教養な門外漢が、中国史書の解釈に無思慮に踏み込んだために浮上した根拠薄弱な一説であり、確たるものではない、どちらかと言えば、浅慮の誤解です。独善派が、見てきたようなほら話に都合が良いので、与太話の結構に取り入れているだけです
 不確かな土台の上に、高々と豪壮な楼閣を築くのは、学術上の論議はあり得ない「砂上の楼閣」です

⑷ 日食騒動の怪
 日食説で奇怪なのは、当日、晴天でみな戸外で空を眺めていたと決め込んでいることです。曇天なら、日食でなくても日差しはないのです。
 晴天日食として、鳥が騒ごうが冷風が吹こうが、別に暗黒になるわけではないので、しばらくして明るくなるのです素人さんの卓見の通りです。中国では、遙か以前から日食予知ができていて、支配者層は、程なく闇は消えると知っていたはずです。
 そのあと、司会者から、女性蔑視、老人蔑視の発言乱発ですが、大変な時代錯誤です。まあ、民放は、この程度が相場なのでしょうか。

*まとめ
 以上の通り、「諸説」というものの、あやふやな思いつきで連発される妄想に呆れるのです。
 念のためいうと、「倭人伝」を正確に読めば、「倭国大乱」はないし、卑弥呼共立は時期不明なのです。もちろん、飢饉との因果関係は一切不明です。(史料にない以上、関係ないと断定したいぐらいです)
 
なにしろ、諸国総会での女王総選挙などあるはずがないのです。(不可能である)
 資料不足をよいことに、各自が、証拠も何もなしに勝手に推測を巡らして吠えるのは、学問と思えないのです。いや、民放テレビ番組に、学問は関係ないのでしょうが、遂に、考慮に値する「諸説」は聞けなかったのです。

                          この項完

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