今日の躓き石 「毎日ことば」 第1219回 「今年の漢字本命?」の迷走
2024/12/12
今回の題材は、毎日新聞の名物コラムである。毎回、貴重なご託宣に敬服しているのだが、今回は、ちと的外れで、一言申し上げるものである。要するに、漢字の「金」を述べているのであるが、漢字ということになると太古の中国文明に戻るので、当ブログとして、一言申し上げるのである。
議論の原点、「金」の由來であるが、これは、論議の余地なく、銅と錫の合金である「青銅」(Bronze)である。「青銅」というのは、古物の色彩を言うのであって、できたての状態は、燦然たる金色であった。これは、純正の「銅」とは随分違うのである。
後世、「鉄」、つまり「鋳鉄」が登場したときは、鋳物として造形してもみるみる赤錆を生じて朽ちることから、忌まわしい「悪金」といわれたのであり、「金」と認められたのではない。勘違いしないように、ご注意いただきたいものである。
これも後世、「黄金」が装飾用に用いられても、扱いにくい金無垢ではなく、金箔装飾になって、始めて「金」と同列になったに過ぎない。
金(Gold)は、希少価値と火熱に負けない、不朽の「貴金属」として、今日まで伝えられたものであり、青銅なる「金」とは、別の存在であったと言える。
国内の古代史では、「銅鐸」と呼び習わされている美術工芸品であるが、本来は「金鐸」と呼ばれたはずである。
ちなみに、オリンピックで授与される「銅メダル」であるが、英語で「Bronze Medal」というように、実際は、「青銅メダル」である。古代漢字で言うと、「金メダル」である。金のかたまりでメダルは作れないので、実物は、青銅などの台に、金を被せた「まがいもの」のはずである。囓って金無垢かどうか確認しないのが望ましい。「黄金」は、火炎では、容易に溶けないが、柔らかくて傷つきやすいのである。
ベニスの商人(シェークスピア)に曰わく、「輝くもの必ずしも金ならず」”All that glitters is not gold.”
以上、初学者向けでは無いかも知れないが、ことの「イロハ」であるので、謹んで指摘する次第である。
以上
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