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2025年4月15日 (火)

新・私の本棚 ブログ記事 邪馬台国: 新古代史の散歩道 2/2

邪馬台国: 新古代史の散歩道          2024/12/31
私の見方 ☆☆☆☆☆ 文献学逸脱 遺跡遺物考古学の余芸か  2025/04/15

放射説と短里説
九州説の距離の克服解消法として、放射説と短里説とがある。

 「九州説」は、確固たる幾つかの本格的な提言に、ヤジ馬のてんでんバラバラの放言が、山ほどぶらさがって混乱している。誤解、勘違い、大間違いを重ねていて、かくも明快に診断したとは、信じられない。神がかりであろうか。

放射説
…榎一雄が提唱した…伊都国を起点としてそれ以後の国々への行路…とする。…以後…放射状…は、…なぜ…伊都国まで戻るのか…説明…できない。…

 「新古子」は、ご自分が読替え依存症で他人も同病とみたのか。
 克服を解消したら元の木阿弥である。「なぜ…できない」は誤解に根ざした愚問である。要するに、明解な行程が理解ができないのは、勉強不足である。

短里説
…一里は414m…古田武彦は魏志倭人伝の里程記事は…1里が約 76~77mの「短離説」を唱える。…詳しくは「短里説」の項を参照…

 当「短里説」項に成り立たないと書かれていない。不出来な付け回しである。

女王国と邪馬台国は同一か
… 翰苑が引用する『魏略』逸文では伊都国の後に、「其の国王は皆女王に属する(…)」…オリジナルの『三国志』は…伊都国、末盧国、伊都国の全部が女王に従うと書かれていた…女王国と邪馬台国は同一である…

 世上「オリジナル三国志」は今どきの歴史と見える。「王」は、対海、一大、末羅、伊都で女王国は算えない。名解釈は、沢山である。共立以前女王国はなかった。「邪馬壹国」は女王之居処で、戸数は書かれていない。
 女王国と邪馬台国が同一とは、これまた神がかりで、根拠不明である。

邪馬台国か邪馬一国か
古田武彦は…「邪馬一(壹)国」が正しいと主張する…確かに魏志倭人伝に「南至邪馬壹國 女王之所都」と書かれている。理由を次の様にまとめている…。

これに対して山尾幸久は「邪馬臺国(邪馬台国)」の表記が正しい…

1.「邪馬壹国」は11世紀初頭の北宋版で誤刻された表記である。
2.…10世紀末までに執筆された諸本がすべて邪馬臺国となっている。
(3.は、欠落)
4. 1983年に成立した『太平御覧』が引用する『魏志』でも臺となっている。

5. 『三国志』の最古の版本は紹興年間…(南宋本)…

…10世紀末までに執筆された諸本には、…『後漢書』、…『梁書』…がある。…『三国志』の南宋本より古い版本がすべて「臺」(台)…、南宋本が印刷時に間違ったと考える方が合理的である。…


 類書所引は信頼できない。太平御覧は南宋刊本である。
 宮内庁書陵局所蔵紹凞本は紹興本より上質とされる。「諸本」現存刊本は、いずれも南宋刊本依拠である。木版印刷は、試し刷りを校正する。
 山尾氏は北宋刊本時誤刻と断定している。何も知らないくせに、御両所著作と拾い食いの巷間風評で判断するとは、いい度胸である。

里程と距離、遺跡の検討
…行程記事…各国を否定するにはそれぞれ3世紀代の遺跡と対応させる…

 行程を三度都度言い変える位だから、百年経っても解決しない。職と食が保証されるからいいのか。それにしても、三世紀代「全候補地を否定」とはいい度胸である。なぜ、三世紀なのか。神がかりである。

比定集落遺跡と王墓 表略

 なぜ、各国を否定する のにぶら下げて、邪馬臺国纏向遺跡説を否定するのか。南畝氏は、命が惜しくないのか。

参考文献  問題山積 参照箇所不明多発。
1.鳥越慶三郎(2020)『倭人倭国伝全釈』KADOKAWAM 所在不明。
 鳥越憲三郎氏には「倭人・倭国伝全釈 東アジアのなかの古代日本」がある。

4.古田武彦(2014)「筑後国の風土記にみえる荒ぶる神をおさめた女王か?」歴史読本、KADOKAWA
 所在不明。【ここまでわかった! 卑弥呼の正体 (新人物文庫) 文庫 – 2014/10/9『歴史読本』編集部 (編集) KADOKAWA/中経出版】のことか。

5.古田武彦・谷本茂(1994)は『古代史のゆがみを正す』新泉社
 意味不明

6.古田武彦(1992)『「邪馬台国」はなかった』朝日新聞
    所在不明。

7.古田武彦(1977)「邪馬台国九州説10の知識」『歴史読本』新人物往来社
 所在不明。

10.石原道博編訳(1985)『新訂 魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝: 中国正史日本伝 1』岩波書店
 2と10は齟齬していないのだろうか

14.渡邊義浩(2012)『魏志倭人伝の謎を解く』中央公論新社>
 南畝氏は安本美典嫌いか。古田武彦4件の偏愛は肩身が狭いのではないか。

◯まとめ
 率直なところ、「新古子」の名目でも、初級者寄せ書きでなく、御大南畝氏の著作と見られる。誤字、誤記、錯簡放置は別儀としても、肝心の論考の構文がつぎはぎで、大局的な主張が見られない(不合理)のは、「新古代史の散歩道」の遺跡・遺物学殿堂としての名声を地に墜とすものではないかと危惧する。
                                以上

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